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An image塩のまめ知識

人々の生活を支えるソルトロード

 

生活に必要不可欠な塩を運ぶ道「ソルトロード」は古くから世界各地に開拓され、車などない時代には家畜や人力によって、大量の重い塩を長い距離運んでいました。

じつは、今でも車を使わず動物の背に乗せて塩を運んでいる地域があります。 ラクダで運搬するキャラバンが通る道、サハラ砂漠です。

塩を運ぶラクダの秘密

生活に必要不可欠な塩を運ぶ道「ソルトロード」は古くから世界各地に開拓され、今でも多くの街道が重要な交易の道として残っています。 日本にも、塩行商が塩を牛の背に乗せて運んだ、岩手県野田村の「野田塩・ベコ(東北の方言で「牛」)の道」があり、その名を残しています。

便利になった現在の日本では、動物に乗せて荷物を運ぶなんて考えられないでしょう。 ところが、世界には道路が作られていない地域が、まだまだたくさんあるのです。 一面砂だらけのサハラ砂漠では、吹きつける砂粒や厳しい熱さで故障したり、タイヤが砂に埋まり動かなくなる可能性があるため、安心して車を利用することができません。 そのため、砂漠の環境に適したラクダを用い、荷物を運んでいます。

ラクダは全身に大量の脂肪がついていて、足の裏も脂肪でプヨプヨしていますが、脂肪は熱を通しにくい性質があり、砂地の熱さにも耐えられます。そして、足袋のように二股に分かれた足の裏は、広い面積を利用し重さを分散させて、砂地でも沈まずに歩けるのです。 また、栄養と水分を体に蓄えておくことができるので、飲まず食わずの長旅も可能ですし、砂を防ぐための長い二重のまつげや、穴を覆い隠すための毛だらけの耳、ぴったりと閉じる鼻の穴などなど、どこをとっても砂漠に適した生体をしています。

砂漠の塩?

アフリカ大陸に広がるサハラ砂漠。 乾いた砂地にも都市があり、約2500万人が生活しています。 「サハラ砂漠産の塩」と聞くとビックリするかも知れませんが、なんと驚いたことに、サハラ砂漠でも塩水でできた池や、岩塩が点在し、塩の採掘・製産が行われているのです。 太古の昔には海だったため、今でも地底深くには塩のもとである海水が残っているためではないかと言われています。 たとえば、砂漠のまん中にあるビルマ村では、地面から湧き出た塩水を日本の「揚浜式塩田」のように、強烈な天日で水を蒸発させ塩を作っています。 また、夏は気温50度を超えるというタウデニ村では、500年間も岩塩の採掘が続けられ、厳しい熱さの中、今も人の手で塩が掘り出されています。

ラクダはちっともラクじゃない・・・

塩がとれる村は、たくさんの人が住んでいる町からは離れているため、町へ塩を運ぶために、キャラバンは750キロの長い道のりを3週間近くかけて歩きます。昔から交易路として利用されている、シルクロードならぬ「ソルトロード」です。

その間、飲める水の井戸に辿り着くのは、4日間歩き続けてようやく1回程度なので、売るための塩と一緒に、最低限必要な人間用の食料と水も持っていかなければなりません。ラクダは100キロ以上の重い荷物を背中に積んで、灼熱の砂漠を歩き続けます。しかも、飲み水が充分にはないため、ほとんど水を飲ませてもらえません。 弱って歩かなくなったラクダは置いていかれ、砂漠の真ん中で死んでしまいます。

もちろん、ラクダだけでなく塩を運ぶ人たちにとっても、大変過酷な仕事です。

歩くのをやめるとラクダが座って動かなくなってしまい、なかなか立ち上がってくれません。移動を再会させるまでに長い時間がかかるので、無駄な時間を作らないため、眠るとき以外キャラバンは止まりません。 当然、食事中も休まず、歩くラクダに乗ったまま済ませます。食べ物も、すりつぶしたヒエの粉を水に溶かしたお粥のようなものだけです。

すべては塩のために!

製産された村で塩を買い、その塩を他の村で売るために、キャラバンは命がけでソルトロードを横断します。 なぜ、それほど大変な思いをしてまで、塩を運ぶのでしょうか? 人間が生きるために塩は欠かせませんが、大量の汗をかく高温乾燥地帯では体内から多くの塩分が失われてしまうため、特に必要です。

塩は、血液や神経の機能を正常に保ったり、体内の水分量を調節したり、生命を維持するために重要な役割を果たしています。塩分が不足すると脱水症状を起こしたり、全身の運動機能や思考能力が低下したり、ひどいときには死んでしまうこともあります。生きるための塩分補給、そして食料の保存にも、塩はなくてはならないものなのです。

もちろん、ラクダだけでなく塩を運ぶ人たちにとっても、大変過酷な仕事です。

それだけではなく、砂漠地帯で塩がとれる村には農作物が全く育たず、村の生活を支えるのは塩だけで、食料を得るために塩を売らなければ生きていけません。それはキャラバンにとっても同じことで、他に生活の糧がないため、命がけでも塩を売らなければならないのです。

また、貴重な塩は非常に高価な値がつき、買った値段の8倍以上の金額で取り引きができます。塩を運ぶ旅が無事に遂行されれば、たくさんの食料を手に入れることができ、苦難の甲斐もあると言えるでしょう。

なによりも、利益のためだけではなく、村や町で暮らす人々が生きていくための自然なサイクルとして、塩を運ぶことが自分たちの仕事だとキャラバンは感じているのかも知れません。

このような塩の交易路「ソルトロード」は、500年以上も利用され続けています。

塩を運ぶ長く苦しい道のり。砂漠に暮らす人々の命をつなぐソルトロード。 いつでも気軽に塩を手に入れられるのは、広い世界から見ると本当に幸せなことだったんですね。